借金をひとつにまとめることのデメリットとは?

借金をひとつにまとめると、月々の返済額を抑えることができるなどのメリットがある一方で、

  • トータルの返済額が増える
  • (気の緩みで)新たな借金をしてしまう

可能性があるなどのデメリットもあります。

借金をひとつにまとめる前に、こうしたデメリットを抑えておきましょう。

借金をひとつにまとめることとは?

借金をひとつにまとめるとは、複数の銀行、業者から借入れしている借金を、一つの銀行、業者に対する借金にまとめることをいいます。借金を一本化する、借り換えするなどとも呼ばれます。

借金をひとつにまとめる仕組みは次のとおりです。

まず、これから借金をひとつにまとめようとする銀行、業者から新たにお金を借り、そのお金で現在の借金を返済します。

そして、以後は、ひとつにまとめた銀行、業者に対して借金を返済していく、という流れです。

借金をひとつにまとめるメリット

借金をひとつにまとめるメリットは以下のとおりです。

月々の返済が1回で済む、借入れ先をひとつにできる

複数の銀行、業者から借金をしていると返済日が異なれば月に複数回、返済しなければなりません。

返済日が同じでも、返済回数は複数回となります。これに対して借金をひとつにまとめると、月々の返済回数が1回で済みます。

また、借入れ先をひとつにまとめることができるため気分的に楽になり、返済計画を立てやすくなるという副次的なメリットも生まれます。

金利を下げることができる

利息制限法では、以下のとおり借入れ金額によって上限金利が設けられています。

  • 10万円未満・・・年利20%
  • 10万円以上100万円未満・・・年利17%
  • 100万円以上・・・年利15%

たとえば、2つの銀行から50万円の借金をしている場合の金利は17%です。

ところが、これをひとつの銀行にまとめた場合、つまり借金を100万円とした場合、利息制限法上、金利を15%に下げなければなりません。

つまり、借金をひとつにまとめると金利を2%下げることができるのです。

月々の返済額を安く抑えることができる

ひとつの借入れ先に対する月々の返済額は少なくても借入れ先が複数ある場合、全体の返済額は高額となります。

しかし、借金をひとつにまとめ借入れ先をひとつとすると、返済期間を延ばすことによって月々の返済額を安く抑えることができます。

借金をひとつにまとめるデメリット

一見すると借金をひとつにまとめることはメリットしかないように見えます。

しかし、借金をひとつにまとめることには、以下のとおり様々なデメリットがあります。

金利は下がったのに利息が増え、トータルの返済額が増える

前記のとおり、借金をひとつにまとめると金利を下げ、月々の返済額を安く抑えることができます。

しかし、月々の返済額を安く抑えているということは、完済までの期間を先延ばしにしているということです。

月々の返済額を抑え、完済までの期間を先延ばしにしているということは借金(元本)の減りが遅くなるため、金利は下がっても元本に対する利息は増えることになり、トータルの返済額は借金をまとめる前よりも増える可能性があります。

新たに借金をしてしまう

借金をひとつにまとめると、新たな借金によって返済した借入れ先の利用枠が空きますから、そこでまた新たに借金をしてしまう、という可能性もあります。

借金をひとつにまとめるとなんだか借金を完済した気になり、気の緩みからまた次々と借金をしてしまうという悪循環に陥りかねません。

特に浪費癖のある方、ギャンブルにのめり込んでしまう方は注意が必要です。

借金をひとつにまとめるには厳しい条件がある

借金をひとつにまとめる場合の多くは、複数の借入れ先から多額の借金をしていて、その借金の返済に困っている状況にあるからです。

したがって、借金をひとつにまとめるといっても「本当に返済できるのか?」と疑問を持たれてしまい、条件が厳しくなるのは当然といえば当然のことといえます。

まず、安定した収入のある方(あるいはその見込みがある方)でなければ借金をひとつにまとめることは難しいといえるでしょう。

また、多額の借金をしている方や滞納歴がある方も返済能力に疑問を持たれてしまいますから同様のことがいえます。

さらに、保証人を立てること、不動産を担保に入れることを条件とされてしまい、借金をまとめる前より状況が悪化してしまう可能性があります。

借金をひとつにまとめる前に任意整理の検討も

任意整理とは、交渉によって債権者に対して利息(経過利息(交渉から和解成立までに生じる利息)、将来利息(和解成立から完済までに生じる利息))のカット、借金の長期の分割返済を求め、結果として借金の負担を軽減させるための手続です。

借金をひとつにまとめるのと異なり、利息をカットできるため、トータルの返済額を軽減させることができます。

また、過払い金が発生している場合は元本額を減らすことができますし、元本額を超えて払っていた場合は、払い過ぎた分の返還を求めることもできます。

このように任意整理には借金をひとつにまとめることにはないメリットがありますから、借金をひとつにまとめる前に任意整理を検討することをお勧めいたします。

もっとも、任意整理をすると信用情報機関の信用情報に事故情報として登録されてしまう、つまり、ブラックリストに登録されてしまいます。

ブラックリストに登録されてしまうと、借金の完済時から5年程度はローンを組む、クレジットカードを組むなどということが難しくなります。

以上のような、任意整理のメリット、デメリットをよく抑えた上で、任意整理するか否か判断しましょう。

まとめ

借金をひとつにまとめると月々の返済回数を1回、借入れ先を1社に絞ることができ、かつ、月々の返済額も抑えることができることから、気分的に楽になるのは確かです。

しかし、トータルの返済額はまとめる前より増える可能性がありますし、気の緩みで新たに借金をしてしまうという可能性も否定できません。

借金をひとつにまとめることはメリットばかりではありません。今後に向けては、任意整理を含めていろんな方向から検討してみる必要があります。

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