過払い金が発生する条件とは?グレーゾーン金利や時効についても解説

以下の条件にあたる方は過払い金が発生する可能性が高いといえます。

  • 利息制限法が定める利息を超えた利息(制限超過利息)を払っていた
  • 制限超過利息を元本に充当しても余りが出る
  • 2010年(平成22年)6月17日以前に借金をした
  • 現在も返済中、あるいは完済から10年を経過していない

この記事ではそもそも過払い金とは何か、発生する条件・仕組み等について詳しく解説してまいります。

過払い金とは

過払い金とは、利息制限法が定める利息(利率(以下の「%」、金利とも言われます)によって計算された金額)を超えた利息(制限超過利息)を払っていた場合に、その制限超過利息を元本に充当してもなお余りあるお金(=払いすぎたお金)のことをいいます。

利息制限法が定める利息と過払い金

利息制限法が定める利息の上限は以下のとおりです。

  • 元本額10万円未満の場合の利息=元本額の20%
  • 元本額10万円以上から100万円未満までの利息=元本額の18%
  • 元本額100万円以上の利息=元本額の年15%

利息制限法に定める利息を超えた利息(制限超過利息)を支払う旨の契約は無効です。制限超過利息は元本に充当されたものとして扱うと解されています。

たとえば、話を簡略化して、「元本100万円を年30%」で借入れ、1年間で「元本90万円、利息30万円」を返済したとします。

しかし、元本100万円の上限利息は15万円(=100万円×15%(0.15))ですから、制限超過利息15万円(=30万円-15万円)が発生します。

そしてこの15万円は元本に充当されますから、返済済みの元本90万円に加えると合計で105万円の元本を返済したことになります。

しかし、これでは「5万円」余分に返済したことになります。この余分に返済した5万円が過払い金です。

グレーゾーン金利と過払い金

現在では貸金業者は利息制限法の利率内で取引しています。しかし、以前は違っていました。つまり、利息制限法が定める利率を超えた取引がされていたのです。

それを可能としていた法律の一つが改正前の出資法と貸金業法です。

まず、改正前の出資法では上限利率は、貸金業者の場合29.2%とされていました。しかし、前記のとおり利息制限法が定める利率は15%から20%です。

つまり、出資法の利率と利息制限法の利率との間に大きな隔たりが生じていたのです。また、出資法には罰則が設けられていましたが、利息制限法には設けられていませんでした。

そこで、利息制限法には違反する(黒)ものの、出資法には違反せず罰則を科されない(白)という利率があったわけです。

そして、こうした利率は「黒色」か「白色」かはっきりしない「灰色」という意味で「グレーゾーン金利」と呼ばれていたのです。

また、グレーゾーン金利は利息制限法上違法ですから、その利息分は本来元本に充当する、余分に返済した分は返還請求できるのが可能なはずです。

しかし、それを不可能としていたのが改正前の貸金業法という法律でした。貸金業法では「みなし弁済」に関する規定が置かれていたのです。

この「みなし弁済」とは、貸金業法に定める要件を満たした場合は、たとえ利息制限法に違反する利率に基づく利息の支払であっても、適法・有効な弁済とするというものです。

貸金業法に定める要件(債務者への書面の交付、返済の任意性など)を満たした場合、という一定の歯止めは欠けられていたものの、この要件はあってないのに等しいほど緩いものでした。

こうして貸金業者は、利息制限法に違反しても出資法により罰則を科されることもなければ、利息の元本充当、過払い金の返還に応じる必要がなくなり、グレーゾーン金利を適用して利息を収受してきたのです。

ところが、2010年(平成22年)6月18日に改正出資法、改正貸金業法が施行されました。改正出資法では上限金利が29.2%から20%に引き下げられました。

また、改正貸金業法ではみなし弁済が撤廃され、利息制限法を以上出資法以下の利率で取引した場合は行政処分(営業停止など)の対象となるとされたのです(出資法以上の利率を適用していた場合は刑事罰の対象)。

以上の話をまとめますと、2010年(平成22年)6月18日以前に貸金業者から借金をした場合は、グレーゾーン金利が適用され、過払い金が発生している可能性があるということになります。

なお、2006年1月に実質的にみなし弁済を認めないとする最高裁判決が出て以降、2007年頃から利息制限法の利率を適用しはじめた貸金業者もいます。

その場合、2010年6月18日以前に借金したとしても過払い金が発生しない可能性があります。貸金業者がどの利率をいつの時点から適用していたのかなどの詳細については弁護士等にお尋ねください。

過払い金と時効

また、過払い金が発生する条件として時効(消滅時効)にかかっていないことが条件です。過払い金請求は債務者が貸金業者に請求できる権利です。

しかし、権利は行使しなければ時効によって消滅してしまいます。なお、消滅時効の期間は10年で、10年の起算点は完済時あるいは最終返済時です。

まとめ

過払い金が発生する条件は

  • グレーゾーン金利
  • 時効(消滅時効)

という2つの言葉がキーワードです。

これまでご紹介した条件に少しでも当てはまるかなという方は、時効によって権利が消滅してしまう前にはやめに弁護士等にご相談いただくことをお勧めいたします。

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