ハードシップ免責とは?目的、要件、注意点

ハードシップ免責とは、個人再生を申立て裁判所から再生計画の認可決定を受けた後、借金の返済を継続していた再生債務者が、再生債務者の責めに帰すことができない事由により、再生計画を遂行すること(借金の返済を継続していくこと)が極めて困難となり、かつ、一定の要件を満たすと認められる場合に、再生債務者の申し立てを受けた裁判所が再生債務者に残る借金の返済義務を免除する制度のことをいいます。

以下、どんな制度なのか詳しく解説します。

ハードシップ免責の目的

再生債務者の責めに帰すことができない事由(のちほど解説します)により、再生計画を遂行すること(借金返済を継続すること)ができなくなった場合、本来であれば再生債権者に再生計画の取り消しの申し立てをされる前に、自己破産(あるいは任意整理)という他の債務整理手段を取らざるを得ないことが多いかと思います。

しかし、再生計画に沿ってコツコツ借金の返済を継続してきた再生債務者が、再生債務者の責めに帰すことができない事由によって借金返済を継続できなくなった場合において、それでも自己破産してくださいとか、任意整理によって今後も借金の返済を続けてくださいというのは、あまりにも再生債務者にとって酷な話です。

そこで、真面目に再生計画に沿って借金の返済を継続してきた再生債務者を救済するための制度がハードシップ免責というわけです。

ハードシップ免責の要件

再生債務者は再生計画を立案し、裁判所の認可決定を受けて一度、借金の返済を継続していくことを約束したわけですから、その借金の返済義務を免除するための要件(ハードル)は相当厳しいものとなります。

再生債務者に責めに帰することができない事由(事情)があること

「責めに帰することができない事由」とは、要は、再生債務者に責任を押し付けることができない事由のことをいいます。たとえば、

  • 天災によって会社の業績が悪化し、そのため会社を解雇されて無職、無収入になってしまった
  • 突然の病や大怪我によって働けなくなり収入が激減した

などの事由が「責めに帰することができない事由」に当たると考えられます。

他方で、ギャンブルや買い物等の浪費は故意とはいえないにしても過失がある、つまり、日頃から浪費に注意して生活していれば浪費を避けることができたといえますから「責めに帰することができない事由」には当たらないでしょう。

再生計画によって認められた借金額の4分の3以上を返済していること

再生計画の認可決定を出た後、すぐにハードシップ免責を認めたのでは、そもそも個人再生した意味がありませんし、再生債権者にも大きな損失を与えてしまいます。

そこで、ハードシップ免責は借金額の4分の3以上の返済、つまり、完済まであともう少し、という段階に至って認めることとしているのです。

再生債権者の一般の利益に反するものでないこと

「一般の利益に反しない」とは、再生債権者に保障されている「清算価値保障」を害しないことを意味しています。

「清算価値保障」とは、債務者が自己破産した場合に債務者の財産から債権者に配当される金額よりも1円でも多くの借金が返済されることが保障されることをいいます。

もともと清算価値保障が認められなければ、再生債務者は裁判所の再生計画認可決定を受けることができません。

にもかかわらず認可決定が出た後に再生債権者の清算価値保障を害するようなことを認めてしまうと、裁判所が認可決定を出した意味がなくなりますし、再生債権者に大きな損失を与えてしまいます。

そこで、ハードシップ免責を申し立てる段階では、少なくとも債務者が最初から自己破産して債権者に配当される金額よりも多くの金額(借金)を返済していることが必要とされたのです。

再生計画の変更をすることが極めて困難であること

再生計画認可決定を受けた後、やむを得ない事由で再生計画を遂行すること(借金の返済を継続していること)が著しく困難となった場合は、再生計画で定められた借金返済の期限を延長することができます(最終期限から最大2年間)。

それでも再生計画を遂行することが極めて困難となった場合にハードシップ免責を認めるということです。

つまり、ハードシップ免責を得るには、他に取るべき手段がないことが必要だということです。

ハードシップ免責の注意点

個人再生を申立てた方の中には、自宅を処分されたくないと考え、個人再生の住宅ローン特則を活用して自宅が処分されることを避けた方も多いのではないでしょうか?

この点、仮にハードシップ免責が認められると住宅ローン(債権)も免責の対象となります。

その意味では再生債務者にとって有利に思えますが、多くの場合、自宅には抵当権が設定されています。

そしてハードシップ免責を得てもこの抵当権が抹消されることはありませんから、住宅ローン会社はこの抵当権を実行して自宅を競売にかけ、売却した代金から債権回収を図ります。

競売にかけられるということは、自宅を処分しなければならない、退去し、引っ越さなければならないということです。

まとめ

ハードシップ免責は、借金の残債の返済義務が免除されるという大きなメリットがある反面、それを利用するにはいくつもの厳格なハードル(要件)を超えなければなりません。

そのため、現実的にはほとんど利用されていないのが実情のようです。

ハードシップ免責の利用を検討しても上記でご紹介した要件でつまづく方が多いのが現状なのではないでしょうか。

債務整理の基礎知識の関連記事

借金は時効で消滅する?時効期間は10年?5年?

借金は時効(消滅時効)で消滅します。しかし、時効で借金が消滅するには時効期間の経過と時効の援用が必要です。 時効期間は5年あるいは10年ですが、進行中、時効の中断事由があった場合、時効は中断します。 時効が中断すると時効期間は振り出しに戻り...

借金をひとつにまとめることのデメリットとは?

借金をひとつにまとめると、月々の返済額を抑えることができるなどのメリットがある一方で、 トータルの返済額が増える (気の緩みで)新たな借金をしてしまう 可能性があるなどのデメリットもあります。 借金をひとつにまとめる前に、こうしたデメリット...

相談は何度でも無料/取り立てストップ/借金問題は法的に減額・解決できます!

0120-479-488
受付時間毎日 9:00〜22:00(土日祝も対応)
メールでのご相談はこちら24時間受付