債務整理にかかる期間はどれくらい?

債務整理をご検討中の場合、「借金生活からはやく抜け出すにはどれくらいかかる」ということも気になるはずです。

この点、あくまで目安としてですが、自己破産は5か月~2年程度、個人再生は7か月~9か月程度、任意整理は3か月~6か月程度の期間を要します。

自己破産の流れと期間

自己破産の流れを「準備期間(1段階)」「自己破産申立てから破産手続開始決定までの期間(2段階)」「破産手続開始決定から免責許可決定の確定までの期間(3段階)」の3つに分けるとします。

そして、1段階は2か月~1年程度、2段階は2週間~1か月程度、3段階は3か月~1年程度を要する見込みです。

したがって、全体として「5か月~2年程度」の期間を要する見込みです(目安)。

準備期間(2か月~1年)

準備期間とは、弁護士に相談・依頼(委任契約締結)、債権者への受任通知の送付・取引履歴の開示請求、取引履歴に基づく引き直し計算、必要書類の取り寄せ、借金、財産、家計状況等に関する調査、裁判所への提出資料の作成等に要する期間です。

取り寄せる必要書類、提出書類の数、調査の難易度等によって2か月~1年程度の期間を要します。

自己破産申立てから破産手続開始決定までの期間(2週間~1か月)

破産手続を開始するには、裁判所に対して「破産手続開始・免責許可の申立書」を提出します。

破産手続と免責手続は別個の手続ですが、個人の自己破産の場合、破産手続開始の申立てをすると同時に免責許可の申立てもしたものとみなされます。

申立書には収入印紙や郵券を添付します。その他、借金に関する書類、家計・資産に関する書類なども同時に提出します。

裁判所が申立書等を受理すると、裁判所は債務者に破産原因があるかどうか調査を行います。

調査は債務者の陳述書等による書面で行われる場合と債務者を裁判所に呼び出して話を聴いて行う(破産審尋)場合とがあります。

これら一連の流れでは事件の難易度によって2週間~1か月程度の期間を要します。

破産手続開始決定から免責許可決定の確定までの期間(3か月~1年)

裁判所は破産手続開始決定を出す前に事件を「管財事件」とするか「同時廃止事件」とするかを決めます。

同時廃止事件の場合

同時廃止事件とした場合、破産手続開始決定を出したと同時に破産手続が廃止となります。その後は、免責許可・不許可を決めるために破産者から話を聴く免責審尋のみが行われます。

免責審尋は破産手続開始決定から2か月から3か月後に行われます。そして、免責審尋から約1週間後に免責許可(不許可)決定が出されます。

その後、免責許可決定が出た場合、決定から約1か月後に決定が確定して正式に免責です。

したがって、同時廃止事件の場合、破産手続開始決定から確定まで3か月から4か月程度の期間を要します。

管財事件の場合

管財事件の場合、様々な手続を踏む必要があります。

まず、破産管財人が選任されます。破産管財人には破産者の財産を調査・管理・処分する権限が与えられます。

そのため、破産管財人選任後は、破産管財人との打ち合わせで債務、財産等に関する聴き取りが行われます。また、破産管財人は債権者から届出のあった債権の調査も行い、配当に向けた準備を進めます。

以上の調査を経た上で債権者集会が開かれます。債権者集会が開かれるのは申立てから約3か月後です。この時点で債権者に配当すべき財産がない場合は異時廃止により破産手続は終了です。

配当すべき財産がある場合は配当手続の期日が指定されます。また、事件によっては債権者集会が2、3回と続く場合もあります。

仮に、1回で終了する場合は配当手続と並行して免責審尋が行われます。その後の流れは同時廃止事件の場合と同様です。

したがって、管財事件の場合、破産手続開始決定から確定まではやくて4か月、事件によっては1年程度の期間を要することもあります。

個人再生の流れと期間

 個人再生は全体として「7か月~9か月程度」の期間を要する見込みです(目安)

準備期間(1か月~3か月)

個人再生でも、自己破産と同様、申立てに向けた準備が必要です。この準備には1か月~3か月程度の期間は必要でしょう。

個人再生の申立てから再生計画認可決定の確定までの期間(約6か月)

個人再生の申立てをするには裁判所に申立書を提出します。

申立書が受理されると個人再生委員が選任され、債務者との面談などを通じて個人再生の開始要件を満たすかどうかのチェックが行われます。

問題なければ、裁判所が個人再生委員の意見などを基に個人再生手続開始決定(申立てから約1か月後)を出します。

決定後は、債権者は債務者が申立て時に提出する債権者一覧表、債務者は裁判所から送られてくる債権認否一覧表に基づいて債権額を確定させます。

債権額を確定させた後は再生計画案を作成し債権者によって可決されると、裁判所は不認可事由がなければ認可決定(申立てから約5か月後)を行います。

そして、決定から約1か月後に決定が確定します。確定した後は再生計画に基づいて返済していきます。

任意整理の流れと期間

任意整理は全体として「3か月~6か月程度」の期間を要する見込みです(目安)。

任意整理の手続は自己破産や個人再生と比べ簡易です。

基本的には債権者に受任通知、取引履歴の開示請求を送り、債権者から送られてきた取引履歴に基づいて債権額や過払い金の有無を確認します。

そして、債務者との打ち合わせによって今後の弁済額、弁済方法を決め、債権者に和解案を提示します。

債権者が和解案に合意すれば和解書を取り交わして和解契約を成立させ終了です。

もっとも、任意整理の中心は債権者との交渉です。交渉に時間がかかれば、それだけ任意整理が終わるまでの期間は伸びます。上記期間はあくまで目安ととらえておきましょう。

まとめ

基本的に、手続が終わるまでの期間は任意整理、個人再生、自己破産の順で長くなるといえます。

もっとも、個別案件によって手続にかかる期間は異なります。気になる方は弁護士に相談の上、おおよその目安だけでも尋ねてみるとよいでしょう。

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