過払い金返還請求手続はどのような流れで進むのか?

過払い金返還の請求方法は交渉と訴訟(裁判)です。以下では交渉、訴訟から過払い金の返還までどのような流れで進んでいくのか把握していただけたらと思います。

過払い金返還請求手続の流れ

過払い金返還請求手続の流れは以下のとおりです。

①弁護士へ相談

②弁護士へ依頼、委任契約

③受任通知の送付

④取引履歴の開示請求

⑤引き直し計算

⑥過払い金返還請求書の送付

⑦貸金業者との交渉→合意あり→⑧和解書取り交わし→⑨返還

合意なし

⑩過払い金返還請求訴訟の提起

⑪訴訟の遂行→和解あり→⑫和解書取り交わし→⑬返還

和解なし

⑭判決・確定

⑮返還

弁護士への相談(①)

まず、②の依頼、委任契約する前に弁護士に法律相談していただきます。現在、多くの法律事務所が無料で提供しています。

法律相談では弁護士が貸金業者との取引期間、借金の残高などを聴き取りの上、過払い金返還請求が可能かどうか判断します。なお、過払い金返還請求が可能かどうかの目安は以下のとおりです。

  • 利息制限法が定める利息を超えた利息(制限超過利息)を払っていた
  • 制限超過利息を元本に充当しても余りが出る
  • 2010年(平成22年)6月17日以前に借金をした
  • 現在も返済中、あるいは完済から10年を経過していない

詳細は以下の記事もご参照ください。

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弁護士への依頼、委任契約(②)

任意整理が可能で、弁護士へ依頼したいという場合は、弁護士あるいは法律事務所との間で委任契約を結びます。

受任通知の送付(③)

委任契約後、弁護士は債権者(貸金業者、貸金回収業者)に対して債務者から依頼があった旨の受任通知を行います(債務整理手続(自己破産、個人再生、任意整理)のご依頼があった場合)。

これにより債権者からの督促は止まります。受任通知については以下の記事もご参照ください。

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取引履歴の開示請求(④)

過払い金が発生しているのか、発生しているとしていくらなのかは⑤の引き直し計算で調べることができます。取引履歴はその引き直し計算をするために必要な書類です。

取引履歴は貸金業者が作成し開示する義務がありますから、まずは貸金業者に対して取引履歴を開示するよう請求することから始めます。

なお、多くの貸金業者は開示請求に応じますが、中には一部しか応じない、あるいは全く応じない貸金業者もいます。

こうした場合は粘り良く貸金業者と交渉する、監督官庁(都道府県知事等)に行政指導を求める申告書を提出するなどして開示を促していきます。

引き直し計算(⑤)

貸金業者から取引履歴が開示されたら、利息制限法に基づく利息に引き直し計算して本当の借金額を割り出します。

ここで「制限超過利息を元本に充当しても余りが出る」という状態、つまり過払い金が発生しているかどうか判断することができます。なお、引き直し計算はご自身することも可能です。

しかし、手間暇かけたくない、計算結果に自信をもてないなどという方は弁護士等への依頼も検討した方がよいでしょう。

⑥過払い金返還請求書の送付(⑥)

過払い金が発生していることが判明した場合は、貸金業者に対して過払い金返還請求書を送付します。この際、過払い金のみならず請求時点までの利息も付けて請求します。

貸金業者との交渉、合意書取り交わし、返還(⑦・⑧・⑨)

請求書送付後、弁護士は電話あるいは直接対面にて交渉を行います。この際、全額返還に応じる貸金業者は少なく、過払い金の利息を付けない和解案を提示してくることが多いです。

和解案は請求金額の5割から7割程度といったところでしょうか。

もっとも、ここでお互いが和解内容に合意した場合は和解書を取り交わして和解契約を結びます。その後は、和解内容に従って返還を求めます。

過払い金返還請求訴訟の提起(⑩)

交渉によって満足な過払い金の返還を受ける見込みがなさそうな場合(あるいは始めからそうした見込みすらない場合)は訴訟を提起します。

訴訟の提起は訴状という書面を裁判所に提出する方法により行います。訴状には収入印紙(手数料)と郵券(郵送料)を添付します。

訴訟の遂行、和解書取り交わし、返還(⑪・⑫・⑬)

訴状が受理されるとそれから約1か月ごとに裁判所から期日を指定されます。期日までに原告(債務者側)、被告(貸金業者側)それぞれが準備書面を裁判所に提出し、各期日において主張・反論を繰り返します。

訴訟遂行中に和解案が提示されることもあります。和解案で提示される返還額は交渉時よりも高いことが多く、和解案に合意した場合は和解書を取り交わして和解契約を結びます。

その後は、和解内容に従って返還を求めます。和解案が提示されない、提示されたが合意しないという場合は訴訟を継続します。

なお、過払い金返還請求訴訟の場合、ご依頼者に法廷に出廷していただく必要はほとんどありません。

判決・確定、返還(⑭・⑮)

訴訟によって主張・立証が尽くされると、裁判所から判決が出されます。そして、判決から2週間経過した後、その裁判が確定します。

確定後はじめて貸金業者に過払い金返還を請求することができます。

また、貸金業者がこれに応じない場合は、貸金業者の財産を差押える強制執行を検討しなければなりません。

まとめ

過払い金返還請求は、取引履歴の取得→引き直し計算→交渉または訴訟、という流れをまずは抑えていただければと思います。

以前は交渉によって過払い金の返還を実現できることが多かったのですが、最近では交渉によることが難しいことも増えてきています。

そうした場合、訴訟を提起する必要がありますが、訴訟や訴訟を見据えた交渉は弁護士の力が不可欠です。過払い金の返還請求でお困りの場合は、はやめに弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

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